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ノルウェーの森で誕生し、日本でも人気急上昇中のキャラクター、キュッパ。
本誌でもあちこちに顔をのぞかせて愛らしさを振りまいている、丸太の男の子です。
この春、キュッパの原作者オーシル・カンスタ・ヨンセンさんが来日し、
東京都美術館で講演をするなどキュッパの魅力を広く伝えました。
来日を機に、キュッパ誕生の背景を聞き、
真っ白なキャンバスにキュッパとググランの絵も描き下ろしていただきました。
文=山岸みすず text by Misuzu Yamagishi 写真=堀裕二 photograph by Yuji Hori |
私は大学で美術を学んだ後、絵を描く仕事をする中で、なにか斬新な方法でノルウェーの自然を伝えたいと感じていました。森の中でスケッチを重ねていくうちに、木の肌そのものを表現したいと思うようになり、やがて誕生したのが丸太を男の子にしたキュッパです。彼は森でさまざまな物を集め、収集したものを分類し、自宅に博物館まで開きます。子どもの頃、おてんばで落ち着きがなく、キュッパと同じく物を集めるのが大好きでしたが、整理整頓するのは大の苦手。絵を描くことだけには集中できるけれど、秩序だてて物事を運ぶことができない女の子でした。私にできなかったことを今、キュッパというキャラクターに託して実現しています。キュッパは世界各国で知られるようになりましたが、ノルウェーでも日本でもフランスでも反応は変わりません。自然が好き、物集めが好き、音楽が好き…、それはどこの国の誰にでも共感してもらえることでした。この物語を書き始めた時には思いもよりませんでしたが、物を集め、自分なりに秩序だて、分類し、整理整頓する、それはとても人間的で普遍的な行為だと感じています。キュッパは整理が得意ですが、ナイーブで、疲れることも悩むこともあるけれど、自分で考え、最後まで頑張る男の子です。キュッパを通して、最後までやれば何事もやり遂げられるということが伝われば嬉しいですね。
●キュッパのイベントやグッズについてはこちらをご覧ください。http://kubbe.jp
◎Åshild Kanstad Johnsen(オーシル・カンスタ・ヨンセン)
1978年、ノルウェーのベルゲン生まれ。イラストレーターであった父の影響もあり、幼少期より絵を描きはじめ、ベルゲン国立芸術大学でデザインを学ぶ。2010年にデビュー作『KUBBA LAGER MUSEUM(日本語タイトル:キュッパのはくぶつかん)』がノルウェーで出版され、2012年に日本語版が福音館書店より発刊される。欧州各国や韓国でも高い評価を得ている。ベルゲン在住。 |
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『キュッパのはくぶつかん』
キュッパは丸太の男の子。
いろいろなものを集めるのが大好き。
集めたものを分類してラベルを付けて…。
素朴で温かみのある絵が
ユニークな世界観を作り出しています。
作:オーシル・カンスタ・ヨンセン
訳:ひだにれいこ
出版社:福音館書店 1,300円(税抜) |