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ノルウェーで最も予約が困難で、最も美味しいと呼び名も高いレストラン、MAAEMO(マエモ)。
2010年にオスロに開店し、2012年3月には北欧のレストランとしては初となる、ミシュラン2つ星を獲得。
そのMAAEMO(マエモ)が、フグレントウキョウで料理を初披露した。

文=中村孝則 text by Takanori Nakamura 写真=堀裕二 photograph by Yuji Hori

 

北欧料理が世界的なブームです。英国のレストランマガジンが主催する「世界ベストレストラン50」では、デンマークのNOMA(ノマ)がこの三年連続でトップを獲得していて、その影響は計り知れません。というのも、いま世界の若手実力シェフたちは、〝ミシュランよりもベスト50〟に選ばれたいというのが、大きな潮流になりつつあるからです。さらに関係者を驚かせたのは2012年のランキング。なんと、20位にFranzen/Lindeberg、34位にFviken、41位にMathias Dahlgrenという、スウェーデンのレストランが、同時に初ランクインしたからです。折しも、先ごろ東京では北欧五ヵ国の食のイベント「Nordic Star Chefs in Japan」が開催され、日本でもその魅力と潜在力は浸透しつつあります。「北欧って美味しいの?」などという質問は、少なくともレストラン業界に限っては愚の骨頂であって、今や美食レストランを探すためだけに、北欧を旅するグルマン達も少なくありません。そして、筆者が特に注目しているのは、ノルウェーのMAAEMO(マエモ)です。MAAEMOは、シェフのエスベン(Esben Holmboe Bang)が二人の共同経営者と2010年にオスロに開店したレストラン。ノルウェーの自然や四季をテーマにした料理の数々は、直ぐに注目を浴び、瞬く間に予約の困難なレストランとなりました。「世界ベストレストラン50」の日本代表の投票委員の一人でもある筆者は、オープン当時から注目し続けていたのですが、先ごろ彼らの最新の料理を、しかも東京で体験することができました。2012年10月4日、5日の2日間、フグレントウキョウにおいて各30人限定で特別ディナー会が開催されたのです。彼らのスペシャリテのひとつ“OYSTER OSLO 2010”は、やはり特筆に値する一皿でした。その他、軽井沢の森まで出かけて摘んできたハーブや木の実などの食材で、〝軽井沢の秋〟の味覚を、軽快な調理と盛り付けで表現していたのも好感が持てました。料理に自然や四季の移ろいを取入れることは、日本では当たり前ですが、ノルウェーにも繊細な季節の移ろいがあることを、彼らの料理を通じて追体験することができました。さて、もっかの注目は先ごろ締め切られ、「世界ベストレストラン50」の2013年版で、MAAEMO(マエモ)がランクインするか、あるいは何位になるかです。立場上これ以上の言及は控えますが、少なくともMAAEMO(マエモ)を体験するためにオスロを旅しても後悔しませんよ、とだけはお伝えしておきましょう。

 

シェフのEsben Holmboe Bang氏。「世界ベストレストラン50」のオフィシャルサイトで、次世代の期待されるシェフとしてインタビュー記事が掲載されている。

2日間限定のテーブルは早々に売り切れ。

MAAEMOのスペシャリテ“OYSTER OSLO 2010”は牡蠣のエキスが凝縮されて陶酔す

 

 

◎「世界ベストレストラン50」オフィシャルサイト

http://www.theworlds50best.com/

 

◎Maaemo

Scweugaardsgate N15 N-0191 Oslo TEL.+47 91 99 48 05
http://www.maaemo.no

 

 

文=中村孝則 text by Takanori Nakamura 写真=堀裕二 photograph by Yuji Hori

本誌でもすでにお馴染みのフグレントウキョウは、オープン以来ノルウェー情報のアンテナショップとして連日にぎわっています。エアロプレスに代表される高品質のコーヒーもさることながら、1950年代から60年代のノルウェー家具が並ぶ、インテリアショップとしての顔も持っています。店内には家具だけでなく、ノルウェーのテーブルウエアなども飾られます。それらは、ほぼ全て購入可能。中でも人気なのは、ノルウェー国内でも収集家の多い人気アーティスト、ノーラ・グルブランドセンやインゲル・ヴォーゲの陶磁器です。彼女たちのようなノルウェーの陶磁器作品は、世界の美術館にも所蔵されるほどデザイン性の高く、根強いコレクターが多くいることでも知られますが、今まで日本ではほとんど紹介されることはありませんでした。特にインゲルの作品は、ハンドプリントで鮮やかな色彩が特徴です。1923年に生まれた彼女は、ノルウェー国立アカデミーで3年間陶芸の研究に携わりました。その後、ノルウェーを代表する陶磁器メーカーのスタヴァンゲルフリント社のハンドクラフト製品の指導者として、その才能を開花させます。ノルウェーの自然をテーマにしたデザインが、1955年頃から人気を博し、スタヴァンゲルフリント社の名とともに世界的に知られるようになりました。その当時の彼女の作品群は、ノルウェーのヴィンテージ雑貨として今でも世界中で取引される人気アイテムなのです。また、ノーラの作品は、どこか懐かしい雰囲気がします。日本の美術様式の影響を色濃く受けたことも関係があるかもしれません。日本のインテリアにもフィットしそうな繊細な魅力がある陶磁器です。Café Fuglenでは、こうしたコレクションを独自ルートで直接仕入れしているため、珍しいアイテムをリーズナブルに販売しています。フグレントウキョウによると、どれもヴィンテージのためにほとんどが一点ものだそう。気になる方は人気が沸騰して高騰するまえに、先物買いをおすすめいたします。

 

◎FUGLEN TOKYO フグレントウキョウ

東京都渋谷区富ヶ谷1-16-11
OPEN : コーヒーバー 8:00〜19:00/土日 8:00〜19:00
カクテルバー 水 19:00〜00:00/金土 19:00〜02:00
木日 19:00〜01:00/CLOSE : カクテルバーは月火休
TEL. 03-3481-0884

     

プレートの中央に筆で描いたような線が特徴的な作品。
ノーラ・グルブランドセンが1931年に製作したプレート¥12,000
キャンドルホルダー 2つで¥29,600

 

インゲル・ヴォーゲが1950年代にデザインした、
Tray with fish(プレート) ¥21,500
Bowl with chicken(ボウル)¥29,600