StyleNorwayWebMagazine 【スタイルノルウェー】

 

オスロっ子にとって密かな愉しみがロッペマルケット(loppemarked)だといいます。
ロッペマルケットはノルウェー語で蚤の市のこと。いわゆるフリーマーケットです。
オスロでは休日にあちこちで開催されていて、街の風物詩にもなっています。

文・写真=中村孝則 text & photograph by Takanori Nakamura

 

フグレントウキョウのオープンで、ノルウェーの1950年代から60年代のヴィンテージ家具や、ヴィンテージ雑貨の魅力がようやく日本でも知られるようになりました。どこか温もりを感じるデザインやマテリアルは、時代を超えて私たちを魅了してくれます。もともとノルウェーの人々は、古いものを大切に使い続ける文化も根付いているようですが、ここ数年は、あらためて往時のプロダクトを見直す動きもあるようです。そんな彼らがこぞって利用するのが、週末毎に開かれるロッペマルケット(loppemarked)、蚤の市です。特に、各学校を開放して開催されるロッペマルケットは、生徒たちの家庭などがボランティアを兼ねて、家に眠る雑貨などを出店するため掘出し物も多く、開催日は朝から行列が出来るほど。数年前には、複製だといわれ購入したムンクの絵画が本物と判明し、数億円の値段が付いたという武勇伝も囁かれました。もっとも、ほとんどは家庭の雑貨や家具が中心で、どれも手頃な値段で手に入ります。主要なロッペマルケットはウェブサイトなどでチェックできます。またオスロ市内のグリューネルロッカ地区の公園でも週末毎に開かれています。雑貨や家具に混じり、スタヴァンゲルフリント社製の50年代から60年代のアイテムも1,000円ぐらいから見つけることができるので必見です。もちろん、値引きも交渉も楽しみのひとつ。旅のいい思い出が見つけられるかもしれません。

 

◎オスロの蚤の市の情報サイト

http://www.loppemarkeder.com
写真は、近ごろ若者に人気のエリア、グリューネルロッカ地区の中の公園で週末に開催される蚤の市の様子。雑貨が中心で値段もかなり手頃。ファストフードなどの露店も出るので、散歩がてら掘出し物を見つけてはいかがでしょう?

 

 

ベルゲンといえば世界遺産の港街。ノルウェーを代表する人気の観光スポットとしても知られます。
しかし、ほんとうは観光ガイドに載らない裏路地の小さなバーに、その街のスピリッツが薫っているのです。

文=中村孝則 text by Takanori Nakamura 写真=堀裕二 photograph by Yuji Hori

 

◎Bar Barista

Øvregaten 16, 5003 Bergen TEL.+47 458 72 653

ベルゲンといえば、世界遺産に登録されているブリッゲン地区がお馴染みです。港に面した古い木造建築群は〝ノルウェーの町屋風情〟とでも呼びたくなるほど、旅情をかき立てます。ベルゲンの旅は、誰しもがまずここからはじめるのでしょう。「死ぬ前に一度は見ておきたい世界の風景」みたいなランキングがあれば、上位候補のひとつに入るのではないでしょうか。もっとも、その魅力はそれとして、本誌ががおすすめしたいのは、このブリッゲン地区の一本裏通りにある、一軒のカフェなのです。BAR BARISTAは、Øvregatenと呼ばれる瀟酒な細い路地に面しています。周りには、アンティーク店やエスニック料理店が並び、散歩するだけでも結構楽しい。その軒のひとつにBAR BARISTAはあります。広い店内は、バーカウンターを中心にテーブル席も。店のセンターにDJカウンターがあり、DJが粋な音楽を流します。内装は、ゴシック風とエスニック風をミックスしたような、不思議なアーティスティックな空間になっていて、どこか懐かしくもあり斬新。超個性的なスタッフたちを見ているだけでも楽しい。ついついクセになって通ってしまいそうな魅力に溢れています。実際に店内は、連日のように地元の若者でいっぱい。オリジナルのコーヒーの美味しさも、さらに旅情をかき立てます。あのカフェに行きたいからベルゲンへ。旅する言い訳が一軒のカフェであったって、いいと思うのです。