ノルウェー版、レイモン・サヴィニャックとでも表現したら言い過ぎでしょうか? 「BLAFRE(ブラフレ)」のお皿やカップに描かれる動物のモティフは、どれも愛嬌だっぷりでユーモラス。しかし、そのグラフィカルな機能美と知的な色使いは、大人の子どもごころまでも優しく刺激します。サヴィニャックは、ご存知のようにフランスを代表するグラフィックデザイナーです。知的でユニークなポスターの数々は、フランス国内だけでなく民族や時代を超えて愛され続けています。「BLAFRE(ブラフレ)」の筆致はまさに、サヴィニャックのそれを彷彿とさせる愛くるしさに満ちています。「‘70年代のデザインにインスパイヤされて制作している」というイングリさん。どこか懐かしいヴィンテージな感覚は、古いものを見直そうという今のノルウェーのトレンドにも通じています。モティフに動物や森が多いのも、子どもたちに自然を大切にして豊かなライフスタイルを過ごして欲しいという願いからでしょう。テーブルウェア、ドリンクボトル、テキスタイル、文具といった実用的なアイテムも、彼女の手にかかれば、温もりや優しさに包まれます。ちなみにイングリさんは、社会貢献や環境保護にも積極的に取り組み、2011年には女性起業家としての活躍が認められ、ノルウェー政府からアワードも受賞しています。 |
BLAFRE Kids Tableware Sets ブラフレ キッズ テーブルウェアセット BRAFRE(ブラフレ)のデザインは、子どもたちへのあたたかい愛情が感じられるものばかり。ドリンクボトルやスチール缶など、商品も多数取り揃えている。写真はかわいい丸い箱に収められた、プレート・ボウル・マグカップの食器3点セット。専用ボックスはギフトにも最適。¥6,300 |
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ノルウェーの絵本から飛び出したKUBBE(キュッパ)の人気が急上昇中です。KUBBE(キュッパ)は、ノルウェー出身のイラストレーターのオーシル・カンスタ・ヨンセンが描く物語の主人公。ノルウェーらしく、丸太!?をモティフにした、ちょっと不思議なキャラクターです。日本では、2012年4月に絵本『キュッパのはくぶつかん』(福音館書店)でデビューをし、発売と同時に北欧好きの女子の間で真っ先に注目を集めました。その後、カフェなどで期間限定のコラボレーション・イベントなどが開催され、クチコミなどでじわじわとファンを獲得中です。その作品が日本のクリエーターの手によって初のショート・アニメーションムービーとなったのは、以前小誌でもお伝えした通り。その後、YouTubeなどで配信されると大評判となり、その反響の大きさに応えるかたちで、ナレーション入りのショートアニメーションが制作されています。ネットでの配信は毎月2回の割合で、15日に前編が公開され、30日に後編がアップされる予定。1ヶ月で1話完結スタイルです。(http://anime.kubbe.jp/top.html)原作者のオーシル・カンスタ・ヨンセンの温かな筆致やニュアンスを、児玉徹郎監督率いる制作陣がファンタジックでユーモラスなストーリーに仕上げています。シリーズは、全12話が予定されているそう。原作が持つノルウェーらしい空気感やキッチュな世界観は、動画でも色あせることなく表現されています。大人のコーヒーブレイクにぴったりな長さも好印象です。 ©Åshild Kanstad Johnsen/TMS
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JANUS(ヤヌス)は1895年に設立された、ノルウェーでもっとも歴史のあるニットウェアカンパニーのひとつです。 文=中村孝則 text by Takanori Nakamura 写真=堀裕二 photograph by Yuji Hori |
JANUS(ヤヌス)は、ノルウェーだけでなく欧州では古くから知られた老舗のニットブランドです。創業は1895年まで遡り、現在ベルゲンのEspeland(エスペランド)にある工場では130人の従業員が従事しています。その羊毛のプロダクトは品質が高く評価され、大人向けだけでなく子ども用の下着やソックスなども幅広く生産しています。欧州が主要マーケットですが、最近はロシアやその他の地域でもシェアを拡大しています。その陣頭指揮を執っているのが、先ごろ最高経営責任者に就任したヤンネ・ヴァンゲン・ソールヒムさん(写真)です。ベルゲン大学を卒業したヤンネさんは、1992年から同社のボードメンバーになっていて、現在二人のお子さんを抱えた主婦でもあります。彼女の活動は、会社経営と並行して、さまざまな文化活動にも貢献しています。その活動が注目され、2012年には、ノルウェー王国の経団連にあたる団体、NHOが発行する機関雑誌『NHO12』で彼女の特集が組まれ、表紙は彼女のポートレートで飾られました。いまや、ノルウェーを代表する若手女性経営者としても注目されるヤンネさんですが、今後の目標は、リブランディングとシェアの拡大だといいます。ロシアで成功した実績を、アジアにも広げたいと語るヤンネさん。日本への本格的な参入も期待したいところです。 |
CEOのヤンネ・ヴァンゲン・ソールヒム氏 あたたかな素材はベビー服や子ども服にも取り入れられている。 |